電鉄用変電所は、電力会社から受電した電気エネルギーを電気車に適した直流又は交流に変換し、電車線路へ供給する為の電気設備です。

電鉄用変電所は、一般に直流用変電所と交流用変電所とに分けられます。

代表として在来線用変電所があり、特別高圧変圧器とシリコン整流器により構成され、直流1,500Vを電車線路へ供給しています。変電所は一つの路線内に複数あり、約3km～十数kmの間隔で設けられています。変電所と変電所の間を走る電気車は、両側の変電所から電気の供給を受け、これを並列き電方式とよびます。

代表として新幹線用変電所があり、特別高圧変圧器と場所や状況に応じ無効電力を補償する電力補償装置により構成され、単相交流25,000Vを電車線路へ供給しています。新幹線用変電所は、在来線用変電所に比べ供給する電圧が高い為、数十km間隔で設けられています。変電所の間を走る電気車は、在来線と異なり片側の変電所のみから電気の供給を受け、これを方面別き電方式とよびます。

電気技術開発では、電鉄用変電所に於ける設備構成の計画検討、詳細設計及び施工監理並びに、変電所の監視、制御・操作機能を構成する電力管理システムの検討等を行っております。

電気車は、自ら電源を持っていないために外部から電気を取り込んで走行しています。
各鉄道会社により構造は異なりますが、一般的には車両の一部である集電装置（パンタグラフ）を地上に施設された電気導体（電車線）に接触させることにより電気を車上に取り込んでいます。
したがって、電気車が走行するためには、電力会社から受電した電気を運転方式に適した電気に変換する変電所と、その電気を電気車まで伝達する電線路が必要となります。
電車線路とは、変電所から送り出された電気を車両に伝えるために沿線に設けられた電線路の総称で、き電線・電車線・支持物等で構成される電気工作物のことを指します。
また電車線路設備は、列車に電気を伝達するために設けられた鉄道特有の設備です。
当社では、このような鉄道の根幹を成す電車線路設備の計画、調査、設計及び施工監理等を行っています。

変電所から電気車に電力を供給するためには、その間に電線を設ける必要があります。その電線のうち電気車に直接接する架線（電車線）に電力を供給する電線を”き電線”といいます。”き電”とは、走行する電気車に必要な電力を供給することをいい、輸送条件等で直流き電方式と交流き電方式に大別されます。

一般送電線から受電した商用周波数の電力を、変電所の整流装置により交流から直流に変換して電気車に直流電源を供給する方式です。
電気車側にて変圧器を設ける必要がなく、車上設備を簡素にできるため、車両価格を抑えることができます。そのため、車両数の多い都市部の線区に適しています。
国内の直流き電電圧は、省令で標準値が600V、750V、および1,500Vとなっています。

一般送電線から受電した商用周波数の電力を、変電所にて周波数を変えず降圧を行うのみなので、変電所の設備が直流き電に比べ簡素にすることができます。
電気車側に変圧整流設備を設けなければなりませんが、き電電圧値を高くして変電所間隔を長くすることが可能となり、電気設備としては経済的です。
国内の交流き電電圧は、単相20kV、25kV、三相600Vとなっています。

電車線とは、線路中央上空に取付られている１本以上の電線であり、電気車のパンタグラフに直接接して電力を供給しています。走行している電気車に安定した電力を供給するためには、電気的に安定しているだけではなく気温変化・風圧・地震など自然の外力に対して、構成のくずれや破壊がないようにしなければなりません。したがって、電車線は一般的な電線路にはない機械的な要求を満たさなければなりません。また、電車線は不具合が発生したときの予備の設備がないため、信頼度が高く経済的で保守が容易な設備でなければなりません。

国内外のほとんどの電車線は、線路中央上空に設置されているため架空電車線方式と呼ばれ、もっとも簡素でありトロリ線１線のみで構成する”直接吊架式”と、高速運転に適していている”カテナリ吊架式” および地下鉄やトンネル箇所の狭い空間で用いられる”剛体吊架式”に大別されます。多くの電車線は、”カテナリ吊架式”となっています。

電車線の支持物は、電気車に電力を供給するための電線を支持する設備の総称で、電化柱・電化柱基礎・ビーム（梁材）・支線等で構成され、その組み合わせにより様々な種類があります。支持物の構成形状は、支持する電線の本数だけではなく曲線区間等の線路条件や周囲環境、地形条件によって対応しなければなりません。

鉄道の電力設備は配電線路設備、受配電設備、幹線設備及び電灯コンセント等の負荷設備に大きく分けられます。

配電線路設備は主に線路沿線に設備され、特別高圧・高圧配電線と低圧配電線路に分けられます。特別高圧・高圧配電線路設備は変電所から駅の配電所などへ、低圧配電線路は線路沿線の照明などに電源供給するために構成された設備です。

配電所等の電力は配電線路から供給するものと直接電力会社より受電するものがあります。駅舎等の配電所は高圧2回線で受電されることが多く、片方の配電線路で事故があった場合でも瞬時にもう一方の健全な回路に切り替えることで、安定した電源を供給しています。

一般的な照明、コンセント設備等に加え、鉄道特有の負荷設備として自動改札機や自動券売機、電気融雪器等さまざまなものがあります。

鉄道の信号設備は列車間隔制御設備、列車進路制御設備、列車運行管理設備、踏切保安設備に大きく分けられ、列車運行の安全を確保するための設備です。当社ではこれらの信号設備の新設・更新・取替における、設備構成の検討・基本計画・詳細設計並びに施工監理を行っています。

列車間隔制御設備は、列車の追突等を防ぎ列車間隔を安全に保つ設備であり、主に閉そく装置・軌道回路装置・自動列車停止装置で構成されます。閉そく装置は、線路上の一区間に１列車しか入れないように定めて列車の衝突などを防止するために設備されています。軌道回路装置は、線路上にいる列車等の位置を検知するために設備されています。自動列車停止装置は、運転士による信号の冒進や誤認による追突事故等を防止するために設備されています。

列車進路制御設備は、駅構内等のどの線路にどの列車を着発させるか制御する設備であり、主に信号装置・転てつ装置・連動装置で構成されます。信号装置は、列車等に対して進行や停止などの運転条件を伝達するために設備されています。転てつ装置は、駅構内にある線路を振り分け、列車の進路を変えるために設備されています。連動装置は、信号機や転てつ装置等の各機器が相互に関連性を保持し、安全に進路構成を行うために設備されています。

列車運行管理設備は、多数の列車を効率よく運行するための設備であり、主に列車集中制御装置・自動進路制御装置で構成されます。列車集中制御装置は制御下にある停車場の信号機及び転てつ装置などを制御所で集中制御し、進路の制御を行うために設備されています。自動進路制御装置は作成されたダイヤと列車の運行状況をもとに列車集中制御装置を介して各列車の出発時刻と進路の制御を自動で行うために設備されています。これらの装置に複雑な判断を委ねることで進路構成の誤りを防止するとともに、ダイヤが乱れた際も的確な状況把握と迅速な対応を可能にしています。

踏切保安設備は、鉄道と道路が交差する場所であ る踏切で、事故防止の観点から通行者に「列車が通過するのでこれから通行すると危険です。」という警報与える目的で設けられた設備であり、主に踏切警報機・踏切障害物検知装置などで構成されています。踏切警報機は道路通行者に対して踏切があることを光と音により明確に表示・警告し、遮断桿で道路通行を停止させるために設備されています。踏切制御子は踏切警報機を自動制御する際に、列車を検知する為に設備されています。踏切障害物検知装置は踏切道で障害物を検知した時、踏切支障報知装置は遮断桿が降りた際に踏切道内に取り残されていることを通知したときに、それぞれ列車を止める信号を表示し事故を回避する為に設備されていて、安全の確保に努めています。

CBTCとは、地上と列車の間の情報伝送に無線通信を利用した、都市鉄道向けの列車制御システムです。CBTCは下記機能を統合的に行うシステムで、IEEE1474に規定されています。

・ATS ( Automatic Train Supervision ) : 自動列車管理システム
・ATP ( Automatic Train Protection ) : 自動列車防護システム
・ATO ( Automatic Train Operation ) : 自動列車運行システム
CBTCは、海外の地下鉄で急速に普及が進んでおり、国内では2023年に東京メトロが丸ノ内線で導入する計画です。

CBTCシステムには次の特徴があります。
・車上装置が安全に走行可能な範囲を常に計算することで移動閉塞方式(Moving Block System)を実現できる
・地上設備（軌道回路・地上信号機・ケーブル）を必要としないため設備投資の抑制が可能 である
・列車の運転間隔を地上設備の変更なしに短縮することが容易にできるため、運転本数の増改に柔軟に対応する事ができる
・主要な機器を冗長化することで高い信頼性が確保できる
・単線並列運転など、柔軟な運用に対応できる

列車制御に使用する無線周波数は、一般の無線LANに使用されているISMバンド（産業科学医療用）の2.4GHz帯を主に採用していますが、ノイズ・妨害・成りすましなどの対策を考慮したシステムを構築することで、安全性と安定性を確保しています。

当社では海外（インドネシア・エジプト）の都市鉄道（地下鉄）で、CBTCを採用した信号システムの設計を行っております。

通信ケーブル(メタリックケーブル)を利用する電信に始まった電気通信は、電信電話・ファクシミリ(ＦＡＸ:Facsimile)等のアナログ伝送から、光ファイバーケーブルを利用した光搬送装置やIP(Internet Protocol)ネットワーク装置等のデジタル伝送へと発展しさらに進化を続けています。

現在ではさまざまな運転設備、旅客設備、災害情報設備、情報処理設備等の情報のやり取りに利用され、鉄道における通信設備はより重要度を増しております。

また、有線の情報網だけではなく、漏洩同軸ケーブル(LCX：Leaky Coaxial Cable）や空間波を利用したデジタル列車無線装置、構内無線、非常時に列車を停止させる防護無線なども重要な通信設備として利用されています。

他にも駅構内やホームに設置される電気時計、列車到着案内や各種情報をお客さまにお知らせする放送設備、セキュリティ・列車運行の安全確認において重要な監視カメラ（ＩＴＶ：Industrial Television）、駅係員等に業務指示を円滑に行う為の指令設備（指令電話、指令ＦＡＸ）等の各種通信設備があります。

電気技術開発では鉄道の安全・安定輸送確保に必要不可欠な通信設備の新設・更新・取替における、設備構成の検討、基本計画、詳細設計並びに施工管理を行っています。

ITV(industrial television)装置は一般に広く使用されている監視用・防犯用ビデオカメラを鉄道に利用したもので、駅のホームの見通し改善の為に設置されている車掌用ITV装置は、列車に乗り降りされるお客さまの状態を監視して安全に運行を行う設備です。

上記の車掌用ITV装置の他にも到着・発車する列車番号を識別する車番用、通路・コンコースに設置してお客さまの流れを監視する流動監視用、異常監視や防犯等に利用される防災用などがあります。

CCDビデオカメラ、ドーム型カメラ、モニター、列車進入検知センサー、同軸ケーブル、駆動装置（電源）、スイッチャー、録画装置、映像制御装置等にて目的・規模に合わせて構成されます。

鉄道固有の事象として列車の振動、ホーム上の突風等で落下しない様にワイヤーロープ、ターンバックルにて振れ止め、落下防止を行います。その他に朝日・夕日による障害対策でハウジングの形状変更や寒冷地対策としてヒーターの内蔵も行います。

最近では汎用性が高いTCP/IPの通信プロトコルを利用したネットワークカメラを防犯用として利用されるケースが増えています。

電力管理システムは、電鉄用変電所の系統監視制御を効率的に行い、安全で安定した電力を供給する為のシステムです。システムは下記に示す様々な機能から構成されており、その一部を紹介します。

・系統監視機能
変電所及びき電区分所等の遮断器や断路器の運転状態を監視・制御し、故障や事故などの異常時には、警報や画面表示により連絡する機能。
・系統制御機能
制御画面上からの操作により、各機器の制御を行う機能。
・デマンド監視機能（電力量管理）
受電変電所の電力量データを取り込み、各種帳票の作成・印字を行う機能。
・定時停送電機能
変電所単位に予め登録された基本運転パターンにより、当日の運転パターンを作成する機能。また、設定された時刻に指令員の承認により、自動制御を行う。

電気技術開発では、電力管理システムの仕様書の作成や、効率的で安全な列車運行を行う為のご提案を行っております。

交通管制システムは、道路利用者の「円滑」「快適」「安全」な走行を確保するために、道路網を監視している各拠点にて管理・運用を実施しているものです。道路上のデータを総合的に管理し、「各種情報の収集→処理→提供」という基本機能を保有し、交通状況情報、経路誘導情報、所要時間情報の作成・提供等を24時間365日停止することなく稼働しています。
大きくは、交通管制中央装置が存在して統轄処理及び管理を司り、収集系及び提供系の各々端末を制御する中央装置がメディア別に存在する形態を取っています。

正確・迅速なオンライン情報収集を行うため、道路上に設置してある路側機器からの情報を受け取り、中央装置へ伝送を行います。主な路側機器として車両感知器、CCTV(交通監視用テレビ)、非常電話、気象センサーがあります。

収集された各情報から、交通状況処理を行うもので、コンピュータとマンマシン装置との共同作業を行うものです。
中央処理装置において、各車両感知器から送られてくるデータを集計し、Q（交通量）、V（速度）、Occ（時間占有率）を算出します。このデータを基に交通状況の判定を行い、交通管制室に設置してある交通状況表示盤にて24時間交通状況の監視を行っています。
また、管制員とコンピュータ間の情報の授受を行うマンマシンシステムで、管制員が管制操作卓からコンピュータに交通調整情報、事故・工事情報等の情報を入力します。

作成された交通状況情報をリアルタイムな情報提供を実現するために、道路上に設置されている提供機器へ伝送を行います。主な提供機器として以下のものがあります。
また、道路を走行中の車両に対して、路側に設置した誘導通信ケーブルを介して、カーラジオ（1620KHz）により詳細な道路交通情報を提供する設備があります。

車両感知器は、渋滞情報等各種提供情報作成用データの収集や交通状況把握を目的に設置されるものです。収集するデータは機種によって異なりますが、基本的には、交通量、速度、時間占有率（オキュパンシー）及び大型車交通量の検出を行います。

車両感知器の機種には、超音波式、ループコイル式（電磁誘導式）、画像式があります。都市内高速道路については超音波式が主流となっています。都市間高速道路においてはループコイル式が主流ですが、画像式への移行が盛んになってきています。
また、走行の安全性を確保する目的で、事故、故障車等の停止車両、落下物、渋滞末尾及び速度超過車両の検出を行う機能を有するものもあります。

超音波式車両感知器 超音波ヘッドから周期的に超音波を発射すると同時に車両および路面からの反射波を受波し、受波のタイミングから車両反射波のみ抽出します。反射波の検知時間差により車両を検知します。

ループコイル式車両感知器 路面下に埋設したループコイルに交流磁界を発生させ、通過車両に対する電磁誘導によって生じるループコイルのインダクタンス変化により、軽自動車以上の車両を検出するものです。

画像式車両感知器 路側に撮像装置を設置し、その画像を処理する事によって、多目的な交通流の計測・交通状況、路面状況の監視を行います。

エプロン照明灯とは、航空旅客の乗降、貨物の積み降ろし、給油、駐機などのために特定された区域（エプロン）に対する投光照明のことをいい、航空機の運航に大きく影響する設備です。

エプロン照明灯は、夜間における乗降客の安全確保、航空機の移動や地上作業、駐機時の保安対策などを目的とし、エプロンに適切な明るさを与え、かつエプロンに進入してくる航空機のパイロットにグレア（不快なまぶしさ）を与えず、管制官からの視認を妨げないようにする必要があります。設置に当たっては、影が少なくなるよう2方向以上から照射する、などの条件を満たす必要があります。

当社ではエプロン照明灯の照明範囲（エプロン区分、機種、ノーズイン方式、自走式等）、視認性（パイロットへのグレア、管制官からの視認性）、投光器の選定（照度、演色性、器具効率等）、管制官等への点滅制御、非常電源、保守管理等を考慮し設計を行っております。